ポロコートって何?チェスターコートとの違いと着こなし方

“チェスターコートとのいちばんの違いは…”

若者から大人まで幅広い年齢層に人気なアウター・チェスターコート。最近ではオンオフ問わずに着こなしに使えることから男女問わずに人気です。

そんなチェスターコートと似ていると言われてるのがポロコートです。

見た目はほぼ同じですがディテールが違うようです。

今回はそんなチェスターコートとポロコートの違いと着こなしについてまとめてみました。

チェスターコートの特徴と着こなし

正式にはチェスターフィールドコートと言い、その名前の由来は19世紀にチェスターフィールド伯爵が着ていたからというのが有力視されてる情報です。丈はやや長めで上襟があり、スーツジャケットと似た形になってます。

チェスターコート

現在ではこのようなデザインでもチェスターコートと呼ばれてますが、当初は違ったようです。その大きな特徴はふたつ。

1・上襟がベルベット

当初のチェスターコートは上襟がベルベット仕様になってます。

チェスターコートの上襟

元々はフォーマルな場面でのコートだったので、ベルベットにすることでよりフォーマル感を表現していました。

このようなベルベットを使ったチェスターコートを最近ではドレスチェスターコートとも呼ばれてるようです。

2・比翼仕立て

もうひとつの特徴は、前ボタンを隠す仕様の比翼仕立て(フライフロント)です。

比翼仕立て

上記でも記したようにチェスターコートは当初フォーマルを意識したコートだったので、ドレッシーな雰囲気を出すための比翼仕立てでした。

チェスターコートの大きな特徴はこのふたつです。

ですが、このような仕様は近年あまり見かけなくなり、上襟は同素材で比翼ではないカジュアルダウンしたチェスターコートが現代版と言えるでしょう。

チェスターコート

のようにデニムと組み合わせたり、

チェスターコート

オーバーサイズ気味で着こなすのが今年っぽいですね。

ポロコートの特徴と着こなし

ではポロコートとはどんなコートなのでしょうか?

ポロコートの始まりは、イギリスの競技でもあるポロの試合中、選手たちが休憩や待ち時間などに着ていたことからそのように呼ばれているという説がいちばん有力です。

ですが実際にその名が世間に広まったのは、イギリスからアメリカに渡り、今では世界最古の紳士服ブランドと言われている『ブルックスブラザーズ』が一般向けにデザインを改良し販売した事からでした。

ポロコート

その後トレンドとなったポロコートは、1920年代後半までにアイビーリーグの学生のほとんどが所有する定番のコートとなりました。

見た目はスーツのダブルジャケットと似ていて、素材やデザインはチェスターコートとも似ています。なのでチェスターコートと間違われる場合もありますが、チェスターコートとはディテールが違います。

そんなポロコートの特徴は大きく5つ。

1・アルスターカラー

チェスターコートとのいちばんの違いはアルスターコートから来ているアルスターカラーと呼ばれる大きな襟です。

アルスターカラー

ピークドラペルよりもラペルの角度が鈍く、カラーとラペル(上襟と下襟)の幅が同じか、あるいはカラーの方が若干広いデザインがその特徴です。このアルスターカラー仕様がポロコートのいちばんの魅力でもあり特徴でもあります。

アルスターコートとは・・・

アルスターの言葉の意味は北アイルランドの地名からの由来だそうです

アルスターコート

アルスターコートとは簡単に言うと非常にクラシックなコート型の一つでいわゆるダブルのコート。アルスターカラーという独特なエリ型で上襟の部分が下襟(ラペル)より大きいのが特徴。

2・ターンナップカフス

次はターンナップ・カフスです。

シャツなどでよく見かける事があるダブルカフスと同様に、袖先を折り返したカフスの総称。アウターでは珍しいディテールでポロコートの特徴のひとつです。

ターンナップ

3・ボックスポケット

郵便受けに似ている事からその名が付いたメールポケットやポストポケットとも呼ばれてる腰ポケット。

ですがポロコートの正式の腰ポケットは諸説あり、画像のようなフレームド・パッチのポケットもありますが、パッチ&フラップポケットもあります。

4・バックベルト

バックベルト(背ベルト)もポロコートの特徴です。

バックベルト

ウエスト部分の絞りを強調したものですが、現代のポロコートでは単なる装飾として付けられてる場合も多い。

5・インバーテッドプリーツ

上記のバックベルトと同様に後ろ姿をかっこよく見せるディテールが、このインバーテッドプリーツです。

インバーテッドプリーツ

プリーツは布を畳んだ「ひだ」のこと。インバーテッドは「裏にした、逆にした」の意味で、ひだ山が突き合わせになっているプリーツのこと。反対側から見れば「ボックスプリーツ」になる。

プリーツ部分がボタン留めになってるのが多く、ポロ競技用に作られたためこのようなプリーツを施したという説もあるが、ウエスト部分のシェイプをより強調してスタイリッシュに見せるために、ベント部分にプリーツを施したという説もある。

どちらにせよチェスターコートには見かけられないポロコートの特徴のひとつと言えるだろう。

上記で記した部分がクラシカルなポロコートの特徴ですが、チェスターコートと同様に現代版は少しカジュアルにアレンジされてるのも多い。例えばターンナップカフスが本切羽や開き見せになっていたり、バックベルトがベルテットコートになっていたりと、時代と

共に変化して来ているのが近年のポロコートと言えるでしょう。

ポロコート

ポロコート

また、ポロコートにキャメルカラーが多いのは、元々ポロコートを発売したブルックスブラザーズが富裕層御用達のブランドだったため、当時高級素材だったキャメルズヘアー(ラクダの毛)を使用して作っていたからです。羊やヤギの毛と違い保温性があり、艶やかだったキャメルズヘアーを使ったのがポロコートと呼ばれてました。

現在は染色技法も進化しているので、ラクダの毛じゃなくても上品なキャメルカラーを作り出す事も可能です。

ポロコート

ポロコート

フォーマルだったりビズスタイルに最適なのはもちろんの事、ワントーンでまとまりのある着こなしだったりカジュアルダウンした大人の着こなしなどにポロコートは活躍します。

チェスターコートよりクラシカルな雰囲気を演出してくれます。

それぞれの違いと特徴・まとめ

今回はチェスターコートとポロコートの違いについてまとめてみました。

チェスターコート

特徴

・上襟がベルベット

・前ボタン比翼仕立て

着こなし

元々フォーマルだったが、近年はカジュアルダウンした着こなしが増えている。デニムに合わせたりオーバーサイズだったりがその特徴。

ポロコート

特徴

・アルスターカラー

・ターンナップカフス

・ボックスポケット

・バックベルト

・インバーテッドプリーツ

着こなし

クラシカルなフォーマル寄り。キャメルカラーが多いので上品な着こなしに最適。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。